ア.譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には,その譲受人も,譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負うとの商法の規定の趣旨は,当該債務の債権者において,同一の営業主体による営業が継続しているものと信じたり,営業主体の変更があったけれども譲受人により譲渡人の債務の引受けがされたと信じたりすることが通常の事態と考えられるため,そのような信頼を保護することにある。
イ.「霞が関商事合同会社」から事業を譲り受けた会社が「新霞が関商事株式会社」の商号を使用するときは,譲受人が譲渡人の商号を引き続き使用する場合に当たらず,譲受人は,譲渡人の事業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。
ウ.営業の現物出資を受けて設立された会社が現物出資をした商人の商号を引き続き使用する場合には,当該会社は,当該商人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
エ.ゴルフクラブの名称がゴルフ場の事業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の事業が譲渡され,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が引き続き使用しているときであっても,譲渡人の商号を譲受人が引き続き使用していないときは,譲受人は,譲渡人の事業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。
オ.新設分割により新設分割会社の事業を承継した新設分割設立会社は,新設分割会社の商号を引き続き使用する場合であっても,新設分割会社の事業によって生じた債務を弁済する責任を負わない。