ア.海外渡航の自由は,出国の自由と再入国の自由を包括する概念であるが,その性質は,経済的自由の側面にとどまらず,精神的自由,人身の自由などと関連し,複合的かつ多元的な性質を持つ。
イ.憲法第22条第1項の「公共の福祉」との文言によって直ちに広範な政策的制約が許されるものではないと考えれば,海外渡航の自由について,憲法上の根拠を同項に求めるか他の条項に求めるかによって,許される制約の程度に決定的な差異は生じない。
ウ.判例は,「著しく,かつ,直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者」につき外務大臣が旅券の発給を拒否できる旨定めた旅券法の規定を,公共の福祉のための合理的な制限を定めたものとして合憲と解している。