ア.砂川事件判決(最高裁判所昭和34年12月16日大法廷判決,刑集13巻13号3225 頁)は,主権国家としての我が国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有する条約について,憲法に対する優位性を認め,裁判所の違憲審査権の範囲外にあると判断した。
イ.憲法と条約の効力関係に関する憲法優位説によれば,条約を違憲審査の対象とし得るが,適式な手続を経て締結されたある条約が違憲と判断された場合でも,当該条約の国際法上の効力は失われないため,我が国は依然として当該条約を履行する義務を負うこととなる。
ウ.憲法第98条第2項が遵守を求める「確立された国際法規」の意義を「国際社会において一般に承認されている成文・不文の国際法規」と解する説に立っても,我が国が締結していない条約に規定されている事項については,同条項が定める遵守義務の対象にはならない。