次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
【事 例】 甲は,知人のAをだまして,A所有の土地・建物(以下「本件不動産」という。 )を時価よりも割 安な価格で入手した上,他人に転売してもうけを得ようと考えた。そこで,甲は,Aに対し,実際 にはそのような事実はないのに, 「本件不動産は,現在は公表されていないが,大規模な地盤沈下の おそれのある地域にある。 」と伝えた上, 「公表される前に,俺が買ってやる。 」と言った。Aは,元 々,本件不動産を子供に相続させるつもりであり,他人に売り渡すつもりはなかったが,甲の言葉 を信じ,低額でも処分しようと思い,某月1日,甲との間で,通常の取引価額の半額程度である2 000万円で本件不動産を売却する旨の売買契約を締結した。そして,甲は,同月3日,本件不動 産の自己への所有権移転登記を行うとともに,本件不動産の売買代金として,現金2000万円を Aに支払い,同月5日,本件不動産の引渡しを受けた。 その後,甲は,乙との間で本件不動産に関する売買の交渉を行ったが,その過程で,乙は,甲が Aをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知った。しかし,乙は,甲から,売買代 金として通常の取引価額よりも低額である3000万円を提示されたことから,同月20日,甲と の間で本件不動産の売買契約を締結し,同日,乙への所有権移転登記を行った。 一方,甲は,知人の丙に前記売買代金として現金3000万円を受け取らせ,B銀行の甲名義の 預金口座に直ちに同代金を入金させることとし,同月18日,その旨を丙に指示した。丙は,それ までの経緯を知らないまま,甲の指示に従い,同月20日,乙から現金3000万円を受領した。 ところが,丙は,多額の借金を抱えており,B銀行に向かう途中, 「この現金を元に一もうけして借 金返済に充てよう。 」と考え,競馬場に行き,乙から受領した現金の全額を馬券購入に充てた。する と,総額で1000万円のもうけが出たので,丙は,同月21日,現金3000万円をB銀行の甲 名義の預金口座に入金し,もうけに相当する現金1000万円を自己の借金返済に充てて費消した。