ア.A説は,証人が主観的な記憶に反する陳述をすること自体に司法作用を侵害する抽象的な危険が認められることを根拠としていると理解することができる。
イ.B説に対しては,結局のところ宣誓義務に違反したことを処罰するものであるという批判が可能である。
ウ.B説に対しては,証人が記憶に反する事実を客観的な真実に合致していると考えて陳述しさえすれば偽証罪が成立しないことになってしまうという批判が可能である。
エ.証人が,甲がVを包丁で刺した事件現場におらず,甲がVを包丁で刺すところを見ていないのに,客観的な真実は甲がVを包丁で刺したのだと考えて「私は,事件現場にいて,甲がVを包丁で刺したのを見た。」と陳述した場合,真実甲がVを包丁で刺したものであったとしても,「虚偽の陳述」に当たるかどうかを,事件全体との関係ではなく,個々の陳述との関係で判断するとすれば,B説からも偽証罪が成立する。
オ.証人が,Vを包丁で刺した犯人を見て,そのときは犯人が甲に見えたが,その後記憶が曖昧になり,逆に報道などを見て「真実はVを刺したのは甲ではない。」と考えるに至り,「Vを包丁で刺した犯人が甲でないことは間違いない。」と陳述した場合,真実Vを包丁で刺したのが甲であれば,いずれの説からも偽証罪が成立する。