ア.私人が現行犯人を逮捕しようとする場合、犯人から抵抗を受けたときは、その際の状況からみて社会通念上逮捕のために必要かつ相当と認められる限度内の実力を行使したことで犯人に傷害を負わせたとしても、法令による行為に当たるから、傷害罪が成立することはない。
イ.勤労者の争議行為に際し、人の看守する建造物に看守者の意思に反して侵入した場合、法令による行為に当たるから、建造物侵入罪が成立することはない。
ウ.虚偽告訴の罪で起訴された者が、人違いで告訴したと気付きながら、公判廷において、公然と虚偽の事実を摘示して被告訴人の名誉を毀損した場合、被告人としての防御権の行使に当たるから、名誉毀損罪が成立することはない。
エ.商人が、自己と通謀して客を装い他の客の購買心をそそる者(いわゆる「さくら」)を使って、商品の効用が極めて大きく世評も売れ行きも良いように見せかけて客を欺罔し、これを信じた客に効用の乏しい商品を売り付けた場合、正当な業務による行為に当たるから、詐欺罪が成立することはない。
オ.宗教上の加持祈祷の行として他人の生命、身体に危害を及ぼす有形力を行使し、その結果、その他人を死亡させた場合、正当な業務による行為に当たるから、傷害致死罪が成立することはない。