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個人的法益令和6年(2024年) 第13問

次の【事例】に関する後記アからオまでの各記述を判例の立場に従って検討し、正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。

【事 例】 保険会社の従業員である甲は、顧客Aが独りで住んでいる一戸建て家屋に多額の現金が保管されていることを知り、Aを殺害した上で同現金を手に入れようと計画した。甲は、その計画に従い、某月1日午後4時頃、Aを戸外に連れ出し、麻酔薬を吸引させて気絶させた上、自動車の後部座席にAを押し込み、同車を運転してAを山奥まで運んだ。さらに、甲は、同日午後6時頃、気絶していたAを車外に引っ張り出した上、自殺に見せ掛けるため、大木の枝に縛り付けた縄でAの頸部をくくり、そのままAをつり下げて窒息死させた。甲は、Aが持っていたA方の鍵を入手した上で、その場にAの死体を放置して上記自動車を運転してA方に向かった。甲は、同日午後8時50分頃、上記鍵を使用してA方内に立ち入り、同所に保管されていた現金500万円を自己のかばんに入れて上記計画を完遂した。 甲は、A方を燃やして犯行を隠蔽しようと考え、同日午後9時頃、A方居室の畳に火を放ってA方を出た。その直後、付近住民が異変に気付いてA方内に立ち入り、上記畳を取り外して屋外に投げ捨てたため、同畳以外は焼損しなかった。 甲は、同月5日、逮捕され、その後の弁解録取手続において、自暴自棄になり、警察官Bが甲の弁解を記載した弁解録取書を手で破り捨てた。 Aには死亡事故を起こしたことによる前科があり、乙は、かつてAから同前科があることを聞いていた。乙は、Aが死亡したことを知り、同月7日、インターネットの掲示板に「Aは、事故を起こして人を死なせた前科がある。」と書き込み、インターネットを利用する不特定多数の者が閲覧可能な状態にした。

ア.甲がAを殺害してA方で現金500万円を手に入れた行為について、甲の計画を踏まえて甲の行為を全体的に考察すれば、生前のAの財物に対する占有を侵害しているから、甲に殺人罪及び窃盗罪が成立し、強盗殺人罪は成立しない。
イ.甲がAを殺した後にその場にAの死体を放置した行為について、甲にはAの葬祭義務がないものの、甲がAを殺した犯人である以上、甲に不作為による死体遺棄罪が成立する。
ウ.甲が焼損させたA方居室の畳は建造物の付属物であるから、甲が同畳を焼損させた行為について、甲に非現住建造物等放火既遂罪が成立する。
エ.甲が弁解録取書を手で破り捨てた行為について、同弁解録取書に甲及びBの署名押印がなかったとしても、甲に公用文書毀棄罪が成立する。
オ.乙がインターネットの掲示板に書き込んだ行為について、乙が摘示した事実が真実であったとしても、乙に名誉毀損罪が成立する。