ア.「乙が公務員Aに賄賂を供与した際,これを幇助した。」という贈賄幇助の訴因で起訴された甲について,「乙と共謀の上,公務員Aに賄賂を供与した。」という贈賄の共同正犯の事実を認定するには,訴因変更の手続を要しない。
イ.「Aを脅迫して現金を強取した。」という強盗の訴因で起訴された甲について,脅迫が相手方の反抗を抑圧するほど強度ではなかったことを理由に「Aを脅迫して現金を交付させた。」という恐喝の事実を認定するには,訴因変更の手続を経なければならない。
ウ.「甲は,公務員乙と共謀の上,乙の職務上の行為に対する謝礼の趣旨で,丙から賄賂を収受した。」という収賄の訴因を,「甲は,丙と共謀の上,公務員乙の職務上の行為に対する謝礼の趣旨で,乙に対して賄賂を供与した。」という贈賄の訴因に変更することは,収受したとされる賄賂と供与したとされる賄賂とが同一であったとしても,公訴事実の同一性を欠き,許されない。
エ.「甲が銅板を窃取するに際し,犯行供用物件を貸与して窃盗の幇助をした。」という窃盗幇助の訴因を,これと併合罪関係にある「甲が窃取した銅板を,盗品と知りながら買い受けた。」という盗品等有償譲受けの訴因に変更することは,公訴事実の同一性を欠き,許されない。
オ.「Aに対し,殺意をもって猟銃を発射して殺害した。」という殺人の訴因で起訴された甲について,証拠上,殺人の訴因については無罪とするほかなくとも,これを重過失致死という相当重大な罪の訴因に変更すれば有罪であることが明らかな場合,裁判所は,例外的に,訴因変更を促し又はこれを命ずる義務がある。