ア.刑事訴訟法第321条第3項所定の書面の作成主体は「検察官,検察事務官又は司法警察職員」とされているところ,火災原因の調査,判定に関して特別の学識経験を有する者は,私人であっても同項の作成主体に準ずるものと解されるから,同人の作成した燃焼実験報告書についても,同項の書面に準ずるものとして,同項により証拠能力を認めることができる。
イ.捜査官が,被疑者の供述内容を明確にすることを主たる目的にして,被疑者に犯行状況について再現させた結果を記録した実況見分調書の要証事実が,再現されたとおりの犯罪事実の存在と解されるときは,このような内容の実況見分調書の証拠能力については,刑事訴訟法第326条の同意が得られない場合には,同法第321条第3項所定の要件を満たす必要があることはもとより,被告人である再現者の供述の録取部分については同法第322条第1項所定の要件を,写真部分については署名押印を除く同項所定の要件を,それぞれ満たす必要がある。
ウ.刑事訴訟法第323条第2号の「業務の通常の過程において作成された書面」に該当するか否かは,その書面自体だけから判断されなければならず,その作成者の証言等関係証拠を考慮に入れて判断することは許されない。
エ.犯行の状況を撮影したいわゆる現場写真は,非供述証拠に属し,当該写真自体又はその他の証拠により事件との関連性を認め得る限り証拠能力を具備するものであって,これを証拠として採用するためには,必ずしも撮影者らに現場写真の作成過程ないし事件との関連性を証言させることを要しない。
オ.刑事訴訟法第328条により許容される証拠は,信用性を争う供述をした者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(同法が定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られる。